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想定外…僕の初恋25.

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25.








今朝…ヒョンに誘われた
あの会話が何を意味しているのか
ヒョンが僕に絡み始めたのは何故か
平行線で終わった二人の会話
関係性が微妙に変わったあの日から数ヶ月経っている
原因が知りたい
ヒョンが僕と話したいのなら僕はヒョンの誘いを受けようと思った
これでハッキリする
「はいOK!!…次のシーンの準備してー」
スタッフの号令で僕たちはしばしの休憩となった
PV撮影で大きな倉庫にきている
そこに幾つかのセットが作られていた
「こっからこう移動して…手の振りはこうだったよな…どぉ?」
「そう…合ってる」
ヒョンたちは振付師にステップや振付けの確認に忙しくしている
僕も一人頭に曲をイメージしながら振付けの確認を始めた
あっ…ココだよな
苦手な振付け
ぎこちない動きが直らない
繰り返し練習していると後ろから声が
「大丈夫…それで合ってるから」
ユノヒョンがペットボトルを僕の目の前に差し出す
「まだぎこちないですよね…」
ユノヒョンからペットボトルを受け取るとひと口飲んでその苦手な振付けを踊ってみせる
「だいぶ良くなってるから自信持つんだ…
チャンミン…自信の無さが表情に出ちゃってるからそこで見栄を切ってみろ」
そう言ってユノヒョンが踊って見せてくれる
「お前はここになると足ばっかり見てしまう
カメラが寄ってきてるのも気付かないぐらい真剣に足を見てる
それじゃダメだ…最後にカメラ目線でこうして見栄を切って観てるファンを挑発してみろ」
ユノヒョンのこんな言葉は心にしみる
踊って見せて納得させる
そしてユノヒョンの表情に魅了された
「俺をカメラだと思って最後見栄を切ってみろ」
僕はもう一度踊っていつも足元ばかり見ていた苦手な所でユノヒョンの方を向いて見栄を切った
「俺の目を見るんだ」
恥ずかしくて見れない僕の気持ちなんて知る由もないユノヒョン
僕はユノヒョンをジッと見つめた
「良い表情だよチャンミン…大丈夫…出来てるよ」
頷くユノヒョン
僕はドキドキが止まらない
«大丈夫…»
ユノヒョンの言葉で僕は自信を持って踊れる
魔法の言葉
「有難うございました」
僕の言葉にユノヒョンは微かに微笑んで頷いた
久しぶりにユノヒョンと楽しい時間を過ごせて僕は嬉しかった
そんな気持ちが表情に出ていたのかな
「何か良いことでもあった?」
ヒョンが僕の顔を覗き込みながら聞く
「いえ…」
僕の様子を見ながら肩を抱いた
「ユノに褒められた?」
「振りのチェックをしてくれて…上手くいかない所がようやく掴めてきたかなって感じです」
「へ~…さすがユノってわけね」
ヒョンがユノヒョンを見つめる
「撮影開始しまーす」
スタッフの声でみんなセットに集まり始める
「行こっか」
ヒョンは僕の肩を抱いたまま歩き始めた
ユノヒョンは僕の前をスタスタと歩いている
「ねぇ…」
耳元でヒョンが囁くのが聞こえてヒョンの方を見るとヒョンは僕の肩を抱く腕にギュッと力を入れた
「撮影終わったら……に来て」
ある場所をヒョンは言って僕の返事を待っている
僕は黙って頷いた
ヒョンは頷く僕を見て微笑むと肩を抱いていた腕を離し既に撮影場所に来ていたヒョンたちの輪に入って行った
この撮影が終われば今日の仕事は終了する
終わったら…僕の疑問にも終止符が打たれる

僕はちょっと緊張しながら撮影をこなしていく
ヒョンはいつにも増して妖艶な雰囲気でカメラに向かって微笑んでいた
ミステリアスなヒョンの雰囲気が輝きを放ち
「さっきより格段に雰囲気イイね…なんか良い事でもあった?」
そんな突っ込みも入れられるぐらいヒョンは美しく輝いていた
「は~い…OK!!」
カメラチェックが終わりスタッフから拍手が沸き起こった
「有難うございました」
スタッフにお礼を言いながら僕たちは控え室へと戻って行く
「結構時間掛かったなぁ」
ヒョンが僕に声を掛けた
「ヒョンがNGばっか出すからですよ」
今日のヒョンはNG連発してユノヒョンに注意されてた
「だって聞いてくれよチャンミナ」
ヒョンは僕にコツコツ身体を当てながら話し始めた
「あのシーンの前にさ…面白い話してたわけ
みんなで笑い転げてたのに号令かかった瞬間に真顔になって見つめ合ってんの
ユノなんてすげーシリアスは表情しちゃってさ
もう…可笑しくて…笑いが抑えられませんでした」
「ユノヒョン…顔がマジ怒ってましたよ」
「だよな…俺は真顔になるユノにツボって笑ってたから」
あの時のユノヒョンは気持ち切り替えろって真顔で言ってた
あの表情のユノヒョンは本気で怒ってる時
笑われて怒ってるんじゃなくてスタッフさんたちの事を思って怒ってる
「まぁ…今日中に撮影終わったじゃん」
時計は間もなく次の日を迎えようとしていた
「そうですね…」
「着替えて早く帰ろうぜ…明日も早いんだし」
そう言うと僕の背中をポンと叩いて控え室へと入って行く
僕も急いで帰る支度をしてある場所へと向かった

「遅かったね」
ヒョンは座って飲み物を飲んでいた
「すみません」
ヒョンは僕に隣に座るように目配せする
僕は静かにヒョンの隣に座った
「チャンミンさ…ユノから何か聞いてない?」
「え?」
ヒョンは黙って僕を見ている
「やっぱりだな~」
ヒョンはちょっと笑いながら言う
「なんか最近…ヒョンもユノヒョンも様子が変だな~とは思ってましたけど」
「変って?…どんな風に?」
興味深い表情で僕を見つめた
「ヒョンが前より近くなった」
「そうだよね…僕は今ユノよりチャンミンに夢中だから」
「え…夢中って」
僕は苦笑いする
「え…嫌なの?」
「嫌なんてそんな…嬉しいです…有難うございます」
ヒョンは微笑む
«ユノより»
今まではユノヒョンしか見てなかったって言ってるようなもんだよね…
「ねぇチャンミン…ユノを説得して欲しい」
「説得?」
ヒョンは僕をジッと見つめながら軽く頷いた
「ユノはね…僕の話をまともに聞いてくれないんだよね
僕の話を全否定して説教する始末だし…
チャンミンから説明したら聞いてくれるんじゃないかなって」
「あの…何を説得するんですか?」
ちょっとよく分からない
僕の表情を見てヒョンはため息をついて話す
「ほんとユノはチャンミンには何も話してないんだね」
ヒョンはそう言うと僕の耳元で囁いた
「サイドビジネスだよ」
サイド…ビジネス
「チャンミンも誘ってってユノには言ったんだけどな…」
それからヒョンはそのサイドビジネスの話を説明し始めた
「悪い話じゃないと思うよ」
笑顔で話すヒョンだけど僕にはそう思えなかった
「そうだ…チャンミンが先にやるって言ってくれたらきっとユノもやるってなると思うな~」
ヒョンは僕の頬に手を添えて僕を見つめる
「僕たちと一緒にやろうよ」
「僕たちって…ヒョンだけじゃないんですか」
ヒョンは微笑むだけ
「ヒョン…即答できる話じゃないと思いますし事務所は何て言ってましたか…」
僕はいきなり押し倒され目の前にはヒョンの顔
「ユノみたいなこと言わないでよ」
僕を見下ろしたヒョンの真顔が月に照らされ妖艶に映る
「僕は…ユノヒョンの意見を聞きます」
「ユノが好きだから?」
僕は一瞬固まる
「ユノヒョンに限らずヒョンたちみんな僕は好きです…」
「僕に嘘つくの?」
ヒョンは僕の気持ちに気づいてる
「嘘じゃないです」
僕の返事を聞いてヒョンは少し笑った
「じゃあチャンミン…前の続き出来るよね」
そう言うと唇を荒っぽく塞がれた
「んっ…」
必死にヒョンから離れようともがく
「ヒョンっ……あっ……」
身体に痛みが走る
「何やってる……やめろ!!」
ヒョンが僕の上からいなくなった
「なに焦ってんの?じゃれてただけだよ」
動じてないヒョンの声
「前はよくユノが相手してくれてたじゃん」
しばらくの間沈黙の時間が流れ
「ちょっと外出よう」
ユノヒョンがヒョンに言う
「またねチャンミン」
ヒョンは僕にそう声をかけてユノヒョンと外へ出て行った
一人残った僕は涙を必死に堪える
僕は全く知らされていなかった
それはきっとユノヒョンがこの話は僕に必要ないと判断したから
ヒョンからの説明を聞いてそれは僕も思った
僕たちはサイドビジネスする立場でもないしそもそも僕たちは歌手なんだから
ユノヒョンは要らぬ波風を立たせないように自らが防波堤になって事態を収拾しようと説得してたんだろう
二人が何故微妙な空気になっていったのかこれで理解出来た
そしてヒョンが僕とよく絡み始めたのも…
サイドビジネスとユノヒョンへの感情が絡んでる
さっきのヒョンは苛立ちからだと理解している
だけどヒョン…免疫のない僕にはちょっと刺激が強過ぎだよ
震えが止まらない

「うぅっ……」
漏れる嗚咽
布団にくるまり気持ちを落ち着かせようと努めていた
ゆっくりとめくられた布団
優しく頬を撫で僕の名を呼ぶ
僕は身体を起こし縋り付くように力の限り抱きしめた




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