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Pitfall-42.

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42.






「すみません…これ下げてください」
俺は店員を呼び彼女が飲んでいたコーヒーカップと俺のカフェラテを下げてもらう
「カフェラテ注文し直します」
「かしこまりました」
店員はそう言うと離れて行く
「ふぅ…」
俺はひと息つき彼女との会話を振り返ってみた
「バレてたんじゃん」
俺は腕を突き上げ伸びをする
ずっとチャンミンの様子を見てたんだろう
みんなと会う度に俺も監視されてたって事か…
性癖とか汚されたとか言われちゃうし
「ひでぇ…」
俺だって戸惑ったんだ
身体から沸き起こるこの感情が何なのか…
会う度に芽生える好きだと言う気持ちに俺は素直に従うことにしただけ
それはチャンミンも一緒なんだと思う
結婚したばっかで葛藤は俺以上にあったと思うけどな
一緒にいると心地良い空気が流れ…惹かれ求めあうのは自然な成り行き
その先には自然と肉体関係があるんだけど
俺とチャンミンが肉体関係を持ったのも必然的なわけで
この快感は彼女では求められない事を一番感じたのはチャンミンだ
いくらセックスだけじゃないって言っても「欲」と言うのは付いて回る
努力を惜しまないチャンミンだが
理性では彼女を求めようと努力しても「欲」が起きないんだから身体が反応するわけなくて…
その間に俺からの愛を注入されるんだから無理じゃん?
彼女は自分から徐々に離れて行くチャンミンを肌で感じながら過ごしていたんだろう
フェラまで断わられる始末だ
彼女にとって屈辱だったに違いない
だけどチャンミンは自分のもの
二人は夫婦なんだ
「結婚式で奪っとけば良かった…」
ポツリと呟き俺はスマホを見つめる
「チャンミン…」
彼女気になること言ってたよな…
チャンミンともう会えない?
どう言う事なのか…
「ダメだ」
チャンミンからの連絡を待ってらんかいられない
彼女の笑みが気になったし俺はチャンミンに電話した

『お掛けになった番号は現在使用されておりません……』
俺は耳を疑う
「嘘だろ…」
慌ててLINEを確認する
『メンバーがいません』
「そんな……」
なかなか車から降りなかったチャンミンを思い出す
珍しくチャンミンから俺を求め電話をくれた
もう会えないと笑いながら話す彼女
一気に心拍数が上がった
俺は一緒にキャンプに行った連れに直ぐ電話を掛けた
《よ~…ユノ》
《お疲れ…お前チャンミンの電話番号知ってたよな》
《あれ?ユノ知らなかったんだ》
《悪い…教えて》
《ちょっと待ってろ~》
ジリジリとしながら待っていると驚きと焦りの声が聞こえた
《ない…退室してるぞ》
俺だけじゃないのか
《お前なんか聞いてない?》
連れは「う~ん」と言って唸る
《あれ以来連絡取ってなかったしな~…チャンミンに用事があったわけ?》
《まぁな…ちょっと聞きたいことがあったんだけど分かんないならいいよ》
《悪いな》
《いや…ありがとな》
俺はカフェの天井を見上げた
LINEの引継ぎがうまくいかなかったんじゃないよな…
番号まで変わってる
俺は鞄の中から財布を取り出して一枚の名刺を取り出し見つめる
記されてる番号に掛ける
《〇〇株式会社でございます》
《私〇〇株式会社のチョン・ユンホと申します
企画部のシム・チャンミンに取次ぎお願い致します》
《かしこまりました…少々お待ち下さいませ》
《すみません》
音楽が流れ始めたが直ぐに切れた
《お待たせ致しました…お繋ぎいたします》
《有難うございます》
《企画部です》
チャンミンじゃない
《申し訳ございません…ただいまシムは外出中です》
聞きなれない声が応対してくれる
《いつぐらいに戻って来られますか?》
《何時かはちょっとわからないですがきっと遅いと思うんですけど》
《では私の番号を申し上げますので連絡くれるようにお伝え頂けますでしょうか》
《わかりました…控えますので少しお待ち下さたい》
ガサガサと音がして《お願いします》と声がして俺は番号を言って電話を切る
俺はカフェラテを飲み干し会社に戻って残りの仕事をする事にした
結局その日はチャンミンから連絡はなかった

次の日
俺は仕事を早く切り上げチャンミンの会社に向かった
続々とビルから仕事を終えたサラリーマンが出てくる
その中にチャンミンがいないか一階にあるソファに座ってチェックしていたら…
「救世主発見」
俺は立ち上がりその人目掛けて歩いて行く
俺に気づいたその人…チャンミンの上司
「おぉ~…ユノじゃないか!!」そう言いながら歩いて来た
「お久しぶりです…前は急に参加させて頂き有難うございました」
「いやいや…楽しかったよ」
上司は笑いながら接する
「あの…チャンミンはまだ仕事ですか?」
俺の言葉に笑ってた表情を曇らせる
「引継ぎやら挨拶回りやらで忙しくてさ…今日は出張だし」
「泊まりで?」
「いや…もう少ししたら空港に着くんじゃないかな
それから戻って仕事するって連絡あったぞ」
「待たせて貰っちゃダメですかね」
「急ぎ?…あ…急がなきゃだよな」
俺はその上司の返しの意味がよくわからず首を傾げる
「ちょっと待っててくれ」
「はい」
上司はそう言って受付に向かい何やら話しこちらに戻って来て俺に入館証を手渡す
「有難うございます」
「受付には言っといたから戻って来るまで俺と飲んどくか?」
上司は飲むジェスチャーをして笑っている
「車なんで飲めないですけどちょっと聞きたいこともあるしお付き合いします」
俺とチャンミンの上司は隣のビルに入ってる串カツ屋に向かった

「いらっしゃい」
そこはカウンターのみの小さな店
仕事帰りのサラリーマンの憩いの場のようで店内はサラリーマンばっかり
「ユノは何でも食べれるタイプ?」
「大丈夫です」
上司は盛り合わせとビールと烏龍茶を注文して手拭きを俺に手渡した
「チャンミンな…忙しすぎて痩せちゃってさ…見てらんないぜ」
「チャンミンから少し聞いたんですけど…仕事でミスしたって」
「はぁ?…何だそれ」
上司は俺の言葉に驚いている
「違うんですか?」
上司は手を左右にブンブン振りながら
「チャンミンがミスなんて今まで一度もないって…アイツは優秀でさ…ミスとは縁遠いタイプ」
そう言って店員が持ってきた烏龍茶を俺に手渡す
「ユノ…一先ず久しぶりの再会に乾杯」
「はい…」
グラスを傾け音を鳴らす
「ミスして忙しいんじゃなかったんだ」
俺がポツリと呟くと上司から耳を疑うような言葉を俺は聞くこととなった
「イタリアに異動だ」
俺は上司を見つめたまま動かなくなる
「そんなクリクリな目して驚くなよ」
「イタリア…イタリアってあのイタリア?ヨーロッパの?」
「他にどこがあるんだよ」
上司はビールをグビッと飲んでジョッキを置くと大きな溜め息をついた
「酷い話だよ…」
俺は言葉を失う
「急だったんですよね」
やっとの思いで声に出す
「そりゃそうさ…チャンミン主動の企画が動いてる真っ最中の異動だ…有り得ん」
「会社として何か意図があっての異動?」
俺の言葉に上司は首を振ってドンとジョッキを置くと
「チャンミンの奥さんが絡んでる」
そう言ってどこかを睨みつけている
「え……」
「チャンミンの奥さんとこの会社と俺らの会社は長い付き合いでさ…
奥さんのイタリア転勤か決まったらしいんだ
そしたら奥さんからチャンミンのイタリア異動の希望があって会社はそれを受け入れた
受け入れるだけの条件をしっかり提示してきたんだ」
上司は残ってたビールを飲み干しジョッキを上げてお代わりを要求している
直ぐにビールは運ばれて来てひと口飲むと再び話し始めた
「俺んとこの会社な…
イタリアに支社があってそこの業績がイマイチでさ…そこのテコ入れにチャンミンをご指名ってわけ
自分と一緒にイタリアに異動になれば共同企画の話も進めやすいしお互いにとってプラスではないですかと…
優秀で語学も堪能…業績が伸びることは期待できるじゃん?
それに幹部クラスは乗っかったんだよ」
俺を見つめる上司
「な…酷い話だろ…そして俺はチャンミンを守ってやれなかった」
少し涙ぐみ始める上司
「ショックを受けてるアイツの表情…俺は目の当たりにしたんだ」
本気で泣き出しそうな上司の背中を優しくさすると泣きのスイッチが入ったようで泣き始める
「いつもの事だから…この人泣き上戸」
そう店員が俺に笑いながら話しかけてきた
「チャンミンがイタリア異動を聞いたのは人事部に呼ばれる前日の夜…奥さんから聞いたらしい
で…翌日に人事部から言われたんだけどチャンミン納得し難いって
そりゃそうじゃん?
俺らの企画が動いてる真っ最中だぜ?時期をずらしてくれたって良いじゃん?」
あの余裕な笑みはコレだったのか
なんか納得した
チャンミンはそれで俺に会いに来たんだ
最後だと…そう決意して
「あ…チャンミン戻って来たみたいだ」
涙を拭きながらガラケーを取り出して画面を見つめている
「あの…」
「行ってこい…愚痴を聞いてくれたお礼に奢ってやる」
「有難うございます…また飲みに誘ってください」
俺がそう言うと上司は俺を抱きしめた
「ユノ!!…お前良い奴だな」
「今度お電話します」
俺はお辞儀をしてチャンミンの会社へと向かった

ほとんど明かりの消えたフロアにポツリと明かりが見える
ゆっくりとその明かりに向かって歩いて行くと…
ノートパソコンを眺め作業に集中しているチャンミンがいた
ホントだ…
数週間会わないうちにチャンミンは痩せていた
挨拶回りに今動いている企画の引継ぎに寝る間を惜しんでこなしているんだろう
しばらくの間…俺は仕事をしているチャンミンを眺めていた
綺麗な横顔…
視線に気付いたのかふとコチラを向いた
俺が居るなんて思いもしなかっただろう
チャンミンは二度見して固まった
「なんで……」
動揺しているのが声色でわかる
俺がゆっくりチャンミンの方へ向かうと椅子から立ち上がり後ずさり始めた
「来ないで下さい…」
俺は歩みを止めない…ゆっくりチャンミンへと近づいていく
後ずさっていたチャンミンが後ろのデスクにぶつかった
「チャンミン…」
俺はチャンミンを抱き締めた





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