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Platonic Love~9.

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9.








悲しそうに笑うチャンミンに軽い言葉は掛けられない
俺はそっと抱きしめた
チャンミンは一瞬身体に力を入れたが直ぐに抜いてジッとしていた
「ユノ…」
チャンミンから漏れた声
「そんな顔されたら…」
俺は身体を離しチャンミンと視線を絡ませる
「放っておけないだろ…」
俺の言葉にチャンミンは一瞬驚いた表情をしたが
「嬉しいな…」
そう言って微笑んだ
「……」
余りにも綺麗な表情に言葉を失くす俺
「ユノ?」
キョトン顔して上目遣いで俺を見つめるチャンミン
「ちょ……ちょっと整理しよう」
そうチャンミンに言って視線を逸らしてから話し始める
「お前はある日コンパに行った…そこで出会った女性はお前を気に入って誘ってきた」
俺はチャンミンを見る
「合ってるか?」
「うん…」
「で…お前は誘いに乗って二人で何処かへ行き…関係を持った……かも知れない」
頷くチャンミン
「記憶にないから否定も肯定もできない…」
「酔ってたのか?」
「僕…アルコールには強い筈なんだけど…」
確かに強いって前に会った時にキュヒョンから聞いたな…
しばし俺は考え込む
「で?…二ヶ月後に妊娠を知らされ入籍した途端に子どもはダメになったと告げられる」
俺の頭に仮説が浮かぶ
チャンミンも感じているのかは分からない
話を聞いてると天然だからな…
「俺の仮説なんだけど」
チャンミンは俺を見つめる
「ユノの仮説…聞きたい」
俺は仮説と前置きしてから話し始めた
「話が出来過ぎてるしチャンミンの天然な性格を知ってる人物が絡んでると思うんだ…」
「天然て誰が?」
チャンミンが聞いてくる
「お前しかいないだろ?」
納得いかないと言わんばかりな表情のチャンミンの肩を抱く
「そんな怒んなよ……な?」
俺が微笑むとチャンミンは固まった
俺をジッと見つめ口を開く
「ユノこそ天然なんじゃないかな…」
「は?…お前何言ってんの」
俺は肩を抱いたまま続きを話し始める
周りに誰もいないけど聞こえない程の小さな声で話す俺たち
俺もチャンミンも自然と身を屈めるような格好になる
「なんかちっちゃい時にこんな感じで作戦会議しなかったか?」
「いきなり懐かしい例えだね」
チャンミンは笑う
「でもよく分かる」
「だろ?」
二人顔を見合わせてクスクスと笑う
俺は話を戻す
「恐らく彼女は先にチャンミンの親と知り合いで借金返済を詰め寄ったんじゃないかな」
「あ!!」
チャンミンの大きな声に俺は驚いて思わずチャンミンの口を手で塞いだ
目を見開いて俺を見るチャンミン
口を塞いでいた手をゆっくりと離す
「ごめん…いきなり大きな声だして」
「ビックリしただろ…」
チャンミンは苦笑いする
「彼女…親が経営している金融関係の支店任されてる」
「それだな…」
「借金なんて僕は知らなかった…」
遠くを見つめながらポツリと呟く
「疎遠だったんなら分かんないよな…」
「ちょっと待って」
チャンミンの視線が彷徨う
「借金と僕……関係ある?」
俺は黙って頷く
チャンミンはハッとした表情をして俺を見つめた
「僕は…借金の返済と引き換えにされたの?」
ユラユラと揺れるチャンミンの瞳
疎遠だった代償か?
それにしても酷い話だ
「わからないけど…仕組まれてた可能性が高いと思う」
「じゃあ…酔い潰れたのも…」
「なんか混ぜられたかもな」
「…」
「最初から奥さんはお前しか見ていない…
きっとお前の写真でも見て一目惚れしたんじゃないか?」
「どこで?…初対面だったのに」
「実家だよ」
俺の言葉に首を傾げる
「最近の僕の写真なんてないと思うけど…」
「お前はどんな歳の写真でも人を惹きつける端正な顔立ちなんだと俺は思うけど」
そう言った俺を驚いた表情で見つめる
「端正な顔立ちはユノだと思うけど… 」
「え?」
こんな美男子に言われても虚しいだけなんだけど…
俺をマジマジと見つめているチャンミンを俺も見つめ返す
いちいち突っ込んでると日が暮れちまうな…
俺はチラッと時計を見てそのまま話を続けようとしたら
「今のは酷くない?」
チャンミンが俺を凄い目で見てきた
「なっ……なに」
俺の腕を掴み持ち上げる
「時計なんか見なくてイイだろ…」
チャンミンの言葉遣いにちょっと驚いた
「お前もそんな感じで話したりするんだな」
「は?…話すけど」
俺が時計を見たのが相当気に入らなかったらしい…
直ぐ表情や態度に出てるのが何とも可笑しくて…
わかり易いチャンミンの態度に俺はクスクスと笑い始めた
「なに……」
ブスっとした表情で俺を見るチャンミン
「お前……可愛いヤツだな」
グッと引き寄せて肩を強く抱く
「可愛いって…嬉しくないんだけど」
「時計見たの…そんなダメだった?」
「気にしなくて良いって言ったじゃん」
「でもさ…時間気になるじゃん」
俺をジッと見ていたチャンミンはそっぽ向いて黙りこくる
「チャンミン?」
無反応なチャンミン
ダメだ…
聞く耳持ってない
「じゃあ…時間になったら言ってくれ」
そう言って話を戻す
「お前が外出した日の夜…
奥さんが抱いて欲しいのはお前からの愛を感じたい独占欲からか…」
俺はずっとチャンミンの様子を見る
「それとも…」
「早く子どもが欲しいからか?」
俺の言葉にビクッとしたチャンミン
「どうした?」
気になって聞いてもそっぽ向いたままチャンミンは俺と視線を合わさない
「チャンミン?」
「僕のせいなんだ…」
震える小さな声
俯きながらそう一言呟いた
「チャンミン?」
「子どもがダメになった時…彼女は妊娠出来ない身体になったって…」
そう言ってようやく俺と視線を合わせ
「僕のせいなんだ…」
もう一度そう呟いた
「でもさ…本当に子どもが出来てたか分かってないんだろ?」
俺の言葉に頷く
「話聞いてたらさ…結構きな臭い奥さんじゃん?
奥さんの話を鵜呑みにするのは危険じゃないか?」
チャンミンは俺の言葉を瞬きせず聞いている
「そうなのかな…僕にはわからない……でもこれだけはわかる」
チャンミンは俺の目を見つめながら口を開いた
「別れる事もできない…拒むことも出来ない」
諦めの表情を浮かばせながら微笑み
「僕は囚われの身なんだ…」
そう言ってニッコリと笑った
どうにもならない現実
俺はチャンミンの手を握る
「お前の拠り所があの二人なんだな…」
「うん……僕は二人を知って…二人の存在と歌に救われてる」
俺も頷く
「それは俺も一緒だよ」
あ…
チャンミンが俺の手をギュッと握るのを感じた
「ユノもだよ」
「ん?」
「ユノの存在も僕の救い…」
チャンミンは真っ直ぐ俺を見つめている
「知り合えて良かった…」
チャンミンは立ち上がって伸びをする
「ユノ…時間だから帰るよ」
振り向いたチャンミンは笑っていた

俺とチャンミン
人混みの中を駅に向かい歩いて行く
駅の改札を通ればそれぞれのホームへと別れる事になる
「ここ上がって行けば良いから」
「うん…」
土地勘のないチャンミンに説明する
「今日はありがとな」
「楽しかった」
「そうだな…」
人が行き交う中しばらくの間無言で見つめ合う
なんかこれ……
この感じ……

離れたくない

視線を落としたチャンミンに
「じゃあな」
俺はそう声をかけた
俺の声に顔を上げたチャンミンの表情
その表情を見た時…俺の身体の中から込み上げてきた感情に焦った
俺は自分のホームへと一歩踏み出す
少し歩いた時
「バイバイ!!」
後ろから聞こえてきたチャンミンの声
俺は振り返り人混みのなか立っているチャンミンを見つめた
「また会おうな!!」
手を振って俺は別れを告げる
ホームに向かいながら気持ちを落ち着かせる俺

悲しい
別れるのがこんなに辛いなんて……
こんな気持ちになるのは何年ぶりだろう
電車に乗り込み暫らくしたらスマホがチャンミンからのLINE着信を告げた








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