fc2ブログ

Pitfall-19.

pc-u1-E9878EE78E8B_convert-akko2.jpg
19.






僕は出て行くユノの後ろ姿を見ていた
ユノのあの眼の色に僕は弱い
式の最中に身体の中がざわつくなんて…
僕はどうかしてる
顔を洗い鏡を見つめる
首筋に付けられた痕はもう消えているのに
僕にはまだ見える時がある
首筋を触る自分が可笑しくなって笑った
「お~…シム…いないと思ってたらトイレだったのか」
上司がトイレに入ってきた
「食べ過ぎたみたいでお腹痛くなっちゃって」
「お前らしいな」
大笑いしている
「俺も食べ過ぎた…じゃあな」
トイレのドアをバタンと閉める上司
「お先に失礼します」
そう声を掛けてトイレを後にした


「僕は今おかしい…」
会場に戻りながら呟く
何でだ…直ぐ見つけてしまう
みんなと話していたユノが僕に気付き微笑んだ
動揺なんかするな…
ユノを無視して彼女を探す
彼女は挨拶回りをまだ続けていた
僕はそこに合流して一緒に回る
「チャンミン…お腹…どぉ!?」
彼女は心配そうに覗き込む
「うん…スッキリしたから大丈夫…ごめん」
「良かった…」
僕の背中を軽くポンポンと叩いた
「メンバーんとこ挨拶に行こう」
え…行ってなかったの!?
「アイツらは良いんじゃないの!?」
今行きたくないんだけど…
「さっき行ったらチャンミンも連れて来いって門前払いだったのよ」
はぁ…
足取り重くメンバーのいる場所へ向かった
「遅い!!」
酔っ払いばっかじゃん…
「本日はお忙しい中お越し下さり有り難うございました…受付も助かりました」
「チャンミン…ユノさんとのデュエット最高だったよ」
「は?」
ワイングラス片手にあの時の幹事が話し出す
なんで今その話しなわけ?
「それはどうも」
冷たくあしらうと後々厄介だから話を合わしてやる
「また歌ってよ…」
「機会があればね」
僕を見ながらニヤリとして
「もう日にちは決まってるから空けといてよ」
「行けたらね…」
「来るんだよ!!分かった!?」
相変わらず強引…
「行けたらね…」
うわっ…
凄い目つきで俺を見てる
「来ないと前みたいにイタ電しまくるよ」
「良い歳して子どもみたいな事言うなよ」
空気が凍った
「良い歳ってなによ」
しまった…これは絡み酒になりそうじゃん
「セクハラだチャンミン…訴えるぞ」
「素敵な年齢って意味だよ」
ダメだ…目が据わってて怖い
「私も空いてたら行ってみたいな」
彼女がポツリと言った
「そうだね…そしたら僕の代わりに出席って事で
…」
幹事はジロっと僕を見る
「あんたとユノさんとのデュエットが聴きたいんだよ!!さっきから言ってんじゃん!!夫婦で出席で決まり!!」
また大声で言うなって…
「そんなにデュエット良かったんだね…聴いてみたい」
彼女が僕を覗き込みながら言う
「二人息ピッタリでさ~…」
「そんなことないよ」
「今度聴かせてやんな~」
酔っ払い幹事め…
「聴かせてね…チャンミン」
彼女はニコリと笑った

「あ~…」
幹事が何かを思い出した様子
「あの日…ユノさんに送って貰ってたよね…チャンミンだけそんな特別扱いされて…ユノさんと一緒に飲みたかったのに…」
ユノはお前みたいに飲めないって…
「ユノさんの隣は私が座るからチャンミン邪魔しないでよ」
「もちろんです」
僕は丁寧に頭を下げる
「よろしい…」
満足気な幹事
その幹事の表情が乙女になった
「ユノさん!!」
振り向くとユノとユノの友達がすぐ後ろに立っていた
僕を払い除けユノの前に立つ幹事
「ユノさん!!…またカラオケ行こうって話になっています」
必死の形相でユノに詰め寄る幹事
怖いぞ!!
「そうなんだ」
「〇日なんです…ユノさん来て頂かないと成立しないんです」
「え?」
ユノは目を丸くして幹事を見つめる
ユノのその表情でメロメロになっている幹事に笑いが止まらない
「チャンミン煩いよ!!」
そんな事言われても…鏡見てみろよって言いたい!!
「またユノさんとチャンミンのデュエットが聴きたくて…予定空けて貰えないですか」
ユノは僕を見つめる
「チャンミンは都合つけれる?」
目の前にいる幹事を飛び越え視線は僕を捉えてる
「すみません…まだ分からなくて」
「じゃあ」
ユノは視線をさ迷わせ親指で唇をなぞりながら考えてる素振りをしていたが視線を僕に戻す
「チャンミン…都合が付いたら連絡くれる?」
げっ…
「待ってるから…」
「わかりました」
幹事はご満悦な表情でグラスのワインを飲み干し
お代わりを貰いにフラフラと歩いて行った

「ユノさん…本日はご列席頂き有り難うございました…またお世話になってしまいそうですね」
彼女がユノに話す
「いえ…チャンミン付き合わせてしまって申し訳ありません」
ユノは爽やかな笑顔で彼女と話し出した。
「仲間がチャンミン好きだから」
好きって…
あんな扱いされてんのに…
「チャンミンを好きなのは様子を見てたらわかります…愛されてますよ」
彼女は「うんうん」と頷く
「ランチで会った時にも話しましたけど…チャンミンは結構な人見知りなんです…
だから今回こうして回数を重ねて会うって事は…」
「皆さんと馬が合うんだと思います」
「そうなんですか…」
ユノは僕をチラっと見る
「チャンミンにとって…数少ない仲間って事ですね?」
ユノは彼女にそう話す
「今後とも宜しくお願い致します」
彼女が頭を下げる
「もちろん…」
ユノは僕を見つめながら微笑んだ


式は滞りなく進み無事終了
僕たちは帰る支度をする為それぞれの部屋へと向かう
あれ…
キーがない
「これ?」
キョロキョロ探していた僕に声をかける
「そうです…ありがとうございます」
僕はユノからキーを貰うと鍵を開け部屋へと入る
カチャ…
鍵の音に振り返るとユノが立っていた
「今…鍵閉めた?」
「聞こえた?」
「はい…」
「どっちみち閉めるだろ?」と言って僕を見つめる
「閉めるけど…どうしてユノが部屋に居るんだよ」
僕の言葉には無反応
僕を見つめながら近付いてくる
「この前さ…偶然会った日覚えてるか?」
「あぁ…店で会った日!?」
「そう…あの日彼女泊まったの!?」
「泊まりましたよ」
「…で…どうだった!?」
「何が!!」
「良かった!?」
「は!?…何のこと!?」
グッと顔を近づけて
「俺と一緒にイった時と…どっちが良かった!?」
「そんな質問には答えません」
直ぐ目の前にいるユノの胸を押して身体を離そうとする
その手を掴まれ僕はユノを睨む
「ユノ…そんなこと聞いてどうするんだよ」
「お前の気持ちを確かめたい」
確かめるって…
「この前のアレは…僕がどうかしてた…ごめん…」
「残念な事言うなよ…」
「手を離して…」
「お前の身体は俺を求めてる」
じっと見つめるユノの眼は真剣
「ユノ…今日見てなかった?…僕は結婚したんだよ…お祝いに来てくれたんでしょ」
ユノの手に力が入る
「奪いたいよ…今すぐにでも」
ドキドキと心臓が煩い…
あの時の快感が蘇ってくる…
至近距離はヤバイ
「なぁ…どっちが良かった!?」
「ユノ…」
嘘はつけない…
「あの日は……シてない…」
ポツリと囁くように答えた
僕の答えを聞いて満足気な表情になったユノは
「俺とシた時が気持ちよくて彼女と出来なかったんだろ!?」
ゾクリとする表情で僕に迫る
なに…
その確信ついたような表情は…

「着替えるから…離して」

ユノの手から力が抜けていく
僕の腕からゆっくり手を離した
「ワインは届いたら連絡する…お前に飲んで貰いたいから」
ユノは僕から離れ扉へと向かう
「カラオケはお前の好きにしたらいい…俺はお前が行かないなら行かないし」
鍵を開けパタンと閉まる音

「そんなの幹事が許す訳ないじゃん」
僕は扉に向かって話す


家に着いて僕らは疲れきって直ぐ寝る準備
「疲れた~…私は休み取ったけどチャンミン仕事でしょ?」
「うん…」
「早く寝て…私は少し片付けてから寝るから」
「そうするよ…お休み」
僕は彼女より先に休む事にした
ベッドに寝転がり天井を見つめる

そうだよユノ
あんな快感
良過ぎて忘れられない
初めてあんな事したんだ
忘れられる訳ないよ…
僕は…
彼女とセックス出来なかったんだ



関連記事
スポンサーサイト



Pitfall-20. | Home | YUNHO with CHANGMIN

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する